こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(1)

  思いおこせばいまから十八年前。 1985年のあの夏、タイガースもそしてファンも燃えに燃えた、焼けるように暑く、そして熱い日々のことであった。 ボクはしかし…、   親子二代、大阪うまれで大阪そだち […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(2)

さて、とはいえ、まだ少年にすぎなかったボクは、年相応の知識をもとにした好悪(すききらい)によっていた。というよりたぶんに、父親からの影響のほうがおおきかった。 影響といえば、厚ぼったい一重まぶたとタレ目、それに貧相なまゆ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(3)

ところでもうひとつ、父からの影響がある。阪神タイガースの大のファンになったことだ。がこれについても、母はけっこうイヤがっている。 勝った負けたと「おとこどもがいちいち五月(うる)蝿(さ)い!」、らしい。 それでもおかまい […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(4)

ふだんの父は、母の手料理をほおばりながら、美味そうにアサヒビールを飲みほしている。「大阪の人間なら、やっぱ、麦酒(びーる)はアサヒやで」だそうな。 ことに今年は満面の笑みで、「タイガース、強すぎやで。相手投手を粉砕しての […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(5)

お人好しでたよりなさげな粗忽者の四十路(四十歳を不惑というらしいと、母が「あんたもそろそろ不惑なんやから、もっとしっかりしてえや!」と、いつもお灸をすえているのを、当時なんどもきいて推測した)すこしまえの父を、反面教師に […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(6)

はなしがすっかり_またも脱線してしもた、すんまへん_本題は、秀吉についてであった。 _やっぱ_秀吉をすきな理由。 大阪と縁(えにし)がふかい人物であり、一説の、最下層の水呑み百姓から信長の草履とりとなり、努力と奮闘のおか […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(7)

ところで、母の小首をかしげる風情が父にとっては、いまでもたまにみせる可愛い仕草、だそうな。「結婚するまえからやけど、あれにはまいったで」と湯船のなか、おとこ同士ふたりだけのときに、にやけ顔で、恥ずかしげもなくそうもらした […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(8)

《後悔、先にたたず》ということわざ、欠陥ありとして、リコールすべきだとおもった。 ボクがまだあまり乗り気でないのは、眼やそぶりをみるまでもなく十一年のつきあいでわかる母は、おおきなため息をひとつついた。それからおもむろに […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(9)

教養ぶかい母は、女性としては変人の部類にはいる。 古代の中国史に興味があるというから、たしかに変わっている。“十八史略”もだが、“孫子”もすきな書物のひとつで、解説書もそれぞれよんだ、とのことだ。 「追いこんでしまうのは […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(10)

また、伊達や酔狂(悪ふざけ)でいえることでもない。それにしても、瞬きをせず凝視する母の眼が、正直こわかった。 ただ、ボクの将来をあんじての叱咤であるくらいはわかっていた。たしかに苦く辛(から)いが、愛情から発したことばだ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 太閤記を読むきっかけなど(11)

_心配をかけたくない_が、母の実意だった、と後日しった。 父が同意見だったことも、先日の外出先が大学病院だったことも。  借りたのは、全集様式の講談社版“新書太閤記“全五巻の一巻と二巻だった。どちらも四百二十ページ前後だ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(1)

 よみだしてすぐ、昔のひとがかいた文章との印象を強くもった。今だとほとんどつかわれない表現やあまりみかけない漢字、難しいことばに戸惑ったからだ。 それでも、内容そのものはおもしろく、次第にひきこまれていったのだった。 昨 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(2)

初日、さすがに眠くなったので時計をみると、午後十時半をすぎていた。どれだけ読んだのかとその端をみると、七十九ページ目だった。一日に百ページをよむのは大変だろうと覚悟していたが、このぶんだと、それほどでもなさそうだと。 き […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(3)

「『秀吉は血塗られてる』との、先日のおぼし召し。なれど、さほどではござらなんだ」 言葉づかいがおかしくなったのは、文豪、吉川英治の文章力の影響なのか。たんにかぶれやすい質なのだろうか。 すぐ異状に気づき修正して候。「たし […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(4)

 母がさえぎった理由。豊臣秀吉は、ほんとうにひとの命を大切にしたのか?それにまちがいないか、だった。 それには、血塗られてると告げたその理由をしらねばならず、そ必要条件として、“羽柴”ではなく、“豊臣”秀吉についてくわし […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(5)

出張中の父がいないふたりだけの食卓。 カレーを食べおえ、まさに口をひらこうとしたボクを制し「さてと」と、母が口火をきった。 「わるいけど先にきかせて。吉川英治の太閤記、どうやった?昨日もやけど、あんだけ、いろんなことを覚 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(6)

画竜点睛(がりょうてんせい、晴は瞳のことと母)を欠く、というやつだ。が、だからといって、いだいている疑問とは、まったく結びつかなかった。 母は、大作家の失態ではないことを説明したあと、「精魂こめて執筆したはずなのに、なん […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(7)

そのボクはというと、生つばを飲みくだしポワ~ンとちいさく口をあけて、母が発するつぎの言葉をまっていた。 聞くだけだから、口を開けるひつようはなかったのだが。ヒナが、エサを欲してくちばしを開けているふうに見えたらしい(とは […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(8)

いっぽう、首肯(うなずき)を肯定ととった母は、“血塗られた”秀吉の実歴を順不同ながら、こんどは具体的にあげていくのだった、メモをみながら。母もひそかに、時間をさいてどこかでしらべていたのだ。 そんなかげの努力に、ひととし […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(9)

その二、千利休(宗易)にたいする切腹命令と、そのあと首を曝しものにした史実。武将でもない利休が謀反をくわだてたとはかんがえづらい。 ならばなぜ?との疑義にたいしいくつか説はあるのだが、いまだだれも完璧には説明できないでい […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(10)

さても、たのみの家臣にある夜、いともかんたんに寝首をかかれるような事態もひきもきらず。下剋上の時代とよばれるゆえんだ。 一例をあげよう。一介の流浪坊主からなりあがった(とされるが、別説もある)、まむしの(斎藤利政)道三を […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(11)

ところでボクは今日、図書館でしった事跡、その一からその四を文字面(づら)ではなく、それがはなし言葉で生々しかったぶん、実感をともなっており、母がこの春ふともらした“秀吉は血塗られてる”の意味に、ようやく思いあたることがで […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(12)

だがそれでも、いや、健勝だからこそ信長暗殺の黒幕は、その最大の受益者たる秀吉、との説が一部においてだがあるのも事実である。 となれば、はたして真偽のほどは?… そこでまずは、クーデター実行者との関係を検証してみることにし […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(13)

で、はなしを、天下人まえとあとの人格差にもどすと、 まずは天下布武のもと、北陸、中国、四国の平定をもくろむ信長は、秀吉の調略多用を快くおもっていなかった。毛利家をうつための有効な策、五十万石の大大名・宇喜多直家の懐柔にた […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(14)

とにもかくにもと、おしえられた順番どおりに本を見開いていった。まずは、“よくわかる日本の歴史”の安土桃山時代編だ。しかし、意気ごみは空回りした。もの足りないというのか、ほとんど手ごたえがなかったからだ。すぐ、つぎのに移っ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(15)

もともとは文盲の秀吉だったから、誤字や当て字もおおいと、この専門書には。 小六(蜂須賀小六、のちの秀吉の家臣、ではない)のボクには、どれが当て字かもわからなかったくらいだから、手紙の内容をほとんど理解できず、その意味では […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(16)

いままででいちばんで最高の勉学。それでもナゾは、まだ解けなかった。しらなかった情報を可能なかぎり収集したにすぎない状態だからだ。これから取りかかる分析によって、解明できるかもしれない。そこに期待した。 午後九時半、メモを […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(17)

 つぎの日も分析についやした。一冊ごとにメモをとったので順不同になってしまった事項を、まず、ふるい事跡から新しい順に並びかえた。 秀吉がいつどこでなにを、なぜなしたのか。その事跡のけっか、なにが起きたか。この整理で、歴史 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(18)

 秀吉を解剖し詳(つまび)らかにするには、角度をかえたうえでの、検証が必要だと。 具体的には秀吉だけでなく、ほかの人物をもしることであらたな景色として眼に映じ、もっといえば、比較対照することであらたなる発見が可能となり、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(19)

ということで、今度は二冊だった、暴君たちをしるした書籍が。 “学習室”、前回はそんな名称があることすら気づかずに入室した。が今回は、神経をはりつめさせた人のおおい部屋のふんいきにも動じなかった。 一冊八時間、すくなくとも […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(20)

かれはユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)と縁(えにし)があり、また、カエサル暗殺後の第一後継者だったアントニウス(ふたりともが、古代エジプト王朝最後の女王クレオパトラ七世とのあいだに、子をもうけている)とも、さら […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(21)

ところで、秀吉と対比してみると、共通個所がいくつかあることに気づく。 ひとつは、善政と悪政の両方を施行した点。以下は、初期の善政にはあたらないが、権力の魔性にとりつかれたネロですら、ローマ大火直後はその救済にと、食料の配 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(22)

その一、村まつりに参加していた農民の皆殺し。 その二、悪政への不満による反乱ののち投降した捕虜数百人を、蕫卓は、みずから主催する大宴会において一人ずつ、文字どおり血祭りにしながら、その地獄絵に満悦したのである。 その三、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(23)

さて、確立した権力を強固にしつつ実子(恵帝)にゆずるために呂雉は、夫であった初代皇帝劉邦の死後、いずれは脅威となるであろう劉邦の各庶子(側室がうんだ子どもたち、各地にて所領をえ、皇位継承の権利を有するもの)やその生母たち […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(24)

つぎは、前漢の高祖劉邦。秦の始皇帝の死後、覇をあらそった項羽をたおし戦乱の世をおさめた人物だ。 かれは権力を独占せんと、彭越や英布など建国の元勲たち(“背水の陣”や“韓信の股くぐり”で有名な韓信は、おなじく建国の元勲で謀 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(25)

ナポレオン暗殺計画は1800年の十二月二十四日に実行された。王党派が、第一執務だったかれとジョセフィーヌがのった馬車に爆弾を仕掛けたのだが、けっか、失敗している。さらに、大英帝国がフランスブルボン(ルイ)王朝の王政復古を […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(26)

 さて、検証ものこりわずか。 でもっての、中国統一をなし遂げた秦の始皇帝。 かれにまつわる暗殺失敗の史実も今日までつたわっている。かれは天下統一のまえ、敵国を攻むるに殲滅するがごとく殺戮に徹し、けっして容赦しなかったのだ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(27)

さらなるもうひとりは、旧ソ連のスターリン書記長で、推定約七十万人を処刑したとされる“大粛清”(1937年~1938年)をおこなった、まさに極悪非道の化身なのだ。  しかしこのおとこが、人々を虫けらのように殺戮しはじめたの […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(28)

1985年八月二十五日の昼すぎ、人の姿がまばらになった学習室にて、おもわず漏らした「くっそぅ!」の一言は、じぶんでも魂消(たまげ)るほどにおおきく、  図書館をあとにしての家路、漕ぐペダルが、やけにおもかった。  はから […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(29)

 小六時にいだいた疑念、これを解こうと、じつは以後も十八年ものあいだ、文献に接しつづけてきたのだった。ナゾ解きは日課であり、暇つぶしではない茶飯事であった。 ちなみに、あきらめが悪すぎるのも、ボクの欠点である。でないと、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(30)

幼き日よりの、武芸の稽古のおかげで仇を討てたわけだが、これで悲憤が癒えたわけではなかった。とはいえ城内にて、公然となげき悲しむことはできなかった。 戦場に身をおく以上は運命共同体であり、戦の展開いかんで喜や怒が錯綜し、哀 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(31)

ところで、秀吉の意図をはかりかねた城内では、緊張がはしった。大門をひらくべきか、撃ちかけるべきか、実質上の主君である利家の差配をうけるべく、城兵がはしった。 その間秀吉は城外において、小一郎(秀吉の実弟、あるいは異父弟と […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(32)

さて、いつ殺されてもおかしくない状況にあえて身をおき、そしてみごとに人を誑しこみ、その甲斐あって織田家中にて、藤吉郎は頭角をあらわすことができたのだ。 ついで、戦国武将として一国一城の主となり、さらには、こんにちの望外に […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(33)

城をおおいつくした静寂、ピーンと張りつめていた緊迫と息苦しさ、思考が停止したままの時空間。 だがそれも、ゆるやかに緩みはじめたのである。 もはやあとの祭りだが、それにしてもの、前田家ものぞまない、否、あってはならない“事 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(34)

さて、その人物についての余談である。 秀吉亡きあとだが、秀長が十七世紀をむかえてなお健在であったならば(仮説でごめんなさい)、家康に天下を盗られる下手はしなかったであろうと。 大坂方として、つけいる隙をあたえなかったにち […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(35)

かんがえられるのは、料理人か運び役に、手のものを忍びこませた?…あるいは秀長の家臣に垂涎の利を提示し籠絡した、であろう。むろん、人選には苦労するだろうが。 ところで家康が完全犯罪をしかけたと、ボクがにらんでいる時期だが、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(36)

すでに元服している嫡子ふたり以外にも男子を多くもつ家康とちがい、秀吉には、世継ぎ候補はひとりだけだった。しかも当時は、子どもの死亡率はたかく、じじつ、天下人になってからの嫡男鶴松は、満二歳と二カ月少々で夭折している。 と […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(37)

早速だが心許ないのが、まずは秀吉の年齢。覇王になったのが五十三歳と、当時では高齢で、しかも実子の男子はひとりだけ。家康のように、第二、第三というふうに男子を次から次ともうけていくには、年齢的にきびしい。くわえての、鶴松元 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(38)

ところでまさか、明国を勢力下におくなど、本気だったとボクにはおもえない。高齢の自身や幼年の秀頼に鑑み、夢想にすぎるくらいはわかっていたはずだと。地球儀をみて自国のちいささと、中国の広大さをしらなかった、なんてありえない。 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(39)

さて、で十六世紀末の秀吉。ちなみにもし、大陸との全面戦争ともなれば長期戦を覚悟しなければならない。それは、海をへだてての兵站(兵・食料・武器などの供給路)に窮することをいみすると、信長家臣として兵站構築と維持のたいへんさ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(40)

ならばと、当たりまえのつぎの疑惑。 秀長毒殺などはまどろっこしい。それよりなぜ、直接、秀吉を毒殺しなかったのか?そのほうが、よほどに手っとり早いではないかと。     & […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(41)

歴史的にも、朝鮮出兵にその因があり、文治派と武断派だがさながら水と油、家康の掌のうえで闘争が勃発したのだった。 まさに歴史が、家康に味方したのである。 くどいようだが、豊臣家内の対立なくして、家康の老獪さは、威力を発揮で […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(42)

その府中城内。 主命によりひきだされてきたわかき城兵にたいし、雑兵が首根っこをおさえつけているのを、利家はやめさせた。動機を問いただす障害になると、わかってからだ。 動機を掌握せずしては善後策などない、くらいは当然にわき […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(43)

 利家は辛抱づよく、おし黙ったまま弁明に耳をかたむけていた。じぶんがもしおなじ立場、おなじ状況であればどう行動したか?愚行をしなかったとする自信はなかった。 幾多の戦をのり越えてきたが、幸いにも、じぶんの肉親に戦死したも […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(44)

 床几(簡易の腰掛)の上、内心、やりきれぬ憤怒と悲嘆と不安が大きな渦となっていた。だが、つとめて、平静をよそおっているのであった。 それでも隠しようのない蒼ざめた顔色の秀長のまえ、利家と利長が平伏していた。入梅前の草いき […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(45)

秀長は秀吉同様、百姓の子(こ)倅(せがれ)(正確な出自は不明)であった。 いっぽうの利家は、織田家譜代で城持ち武将前田利昌の子息である。とうぜん、故信長の直参(直属の家臣。命により現在、柴田勝家の与力をつとめてはいるが、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(46)

さいごに、「家臣の咎(とが)は城主である倅(せがれ)利長とこのわたくしにありますゆえ、いかようなる処分にも異存はござらん。されど身勝手をお許しいただけるならば、わが、ほかの家臣どもには全(まった)き咎のないことにて、命を […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(47)

ところで吟味をまかされた秀長だったが、兄の仇にたいする処置に言及しなかった。 前田家に、処断をまかせたのである。あえて、伝える必要はないだろうと。 まちがっても_当方にて刑に処する_ことあらば、それが生みだすけっか、想像 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(48)

陰のように添う太刀もち以外、そばにつかえる重臣の高虎さえも排し、それのみならず、「…以外、だれも近づけるでないぞ!」と厳命したのだった。 さても、秀長からの火急の懇請により、杖をつき不自由な足に力をいれ、床几からたちあが […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(49)

羽柴家のため、将来における後見を見込む秀長はたしかに智勇兼備だが、…とはいうものの弟に、秀吉のようなカリスマ性は、もとよりない(秀長がたとえば畿内一円の覇権をにぎれば別だが)。 というのも、直接動員兵力はせいぜい三千、直 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(50)

困ったな、どうしよう?で、済むはずがない。最大にして危急の現実問題、それは、配下の大名や家臣が、羽柴三者連合に与(くみ)してくれればよいが、そうなるとは…。むしろ、ならないであろう、ということだ。 くどいが、このまま無策 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(51)

問題はしかし、隆景の兄である元春が領主の吉川家、およびかれらのおいが継いだ本家毛利にたいして、官兵衛はきわめて受けがわるいことだ。 戦国の世ゆえに、戦火をまじえた敵同士ということに、さほどの問題はない。 としても、秀吉が […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(52)

ところでこの手紙を官兵衛は、いかように読みとったであろうか? というのは後年、秀吉は家臣に、じぶん以外で天下をとれるとしたら、それは官兵衛だと告げた。換言するに、官兵衛は最大の功労者だがその存在は脅威そのものだと。 だか […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(53)

遡(さかのぼ)ること八年まえ、長浜城にて秀吉・秀長兄弟はある吉日、母者の“なか”から、双子の存在をきかされたのである。 「それにしても、ようも探しだしたもんじゃと、先日来、ほとほと感心していたところじゃ」 ゆくえ知れずと […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(54)

“猿”もしくは“禿(はげ)ネズミ”が,信長の発したたんなる蔑称ではなく、双子を産んだ畜生腹からの子という、まさに実体をともなった呼称となってしまうからだ。ひととして、畜生あつかいほどの汚辱が、この世にあろうはずがない。 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(55)

旧来、北近江の領主で名門の家柄である京極家だけに、ぞんざいには扱えないといいたいのだ。余談だが、信長によって滅ぼされた、浅井長政のめいにあたる。 「あいや、さらにもうお一人」あつかいに気をつけなければならない側室がいたと […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(56)

 ところで色好みの秀吉だが、男色の気はすこしもない。それゆえ、小姓のなかに肌身を許したものはいなかった。ふたりの智将がいだいた側女にむけた不安だが、かれらにたいしては持つ必要など、なかったのである。 それでも官兵衛は、近 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(57)

 つづけて官兵衛は、子飼いについてはあとまわしにすると、ほかの直臣やおもだった役まわり、その一人一人の名前をあげながら、適材適所の人事を披露していった。 こうして、手の内のものへのうつ手について言上したのである。で、つぎ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(58)

秀吉の声をしらない小姓たちは、まさか影武者だとはおもわず主君の言葉として、家臣たちにつたえる。大名や家臣は、小姓の振る舞いがまったく自然なので、たとえば、疑いをもっていたとしても、その疑惑はやがて消えていくだろうとした。 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(59)

ここでも、横道にそれる。 前者集団はのちに武断派と称され、関ヶ原の合戦のおりには、豊家を裏切り、こぞって徳川方についてしまった。豊臣恩顧の武断派たちは、これを裏切りとはおもわないかもしれないが。 それでもあえて言う。鬼籍 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(60)

 いっぽうの後者集団だが、文治派と称される。財政や戦時における兵站などをふくむ行政にたけていた。ちなみに兵站とは、人員・兵器・食料・医薬などを戦地に前送・補給しつつ、後方の本営との連絡をも機能させる後方支援のことだ。 と […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(61)

「これらの者には、一切をつつみ隠さず正直に打ちあけ、羽柴家のゆく末を安堵するために骨身をおしまないとの、誓いをたてさせましょう。行長(当時二十五歳)なんどをもふくめ、まだわかき者たちゆえ、心はまっすぐにござれば…」 官兵 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(62)

 ながい時間をまたされた前田家親子三人であった だが、秀長がすがたをみせるとその横顔を一瞥し、すぐさま平伏したのである。直後かれらは、安堵の表情になっていった。 あらわれた秀長の眼から、先刻のはげしい怒りはきえていたから […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(63)

この、利家が肚(はら)におさめた請願はけっかとして、争いごとのない世を希求する民の願望、当時においては日本統一の、その支援となったのである。 肉が肉といさかい、血で血をあらそった戦国の世は、このような有名、だけでなく無名 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(64)

而(しこう)してこの終日、秀長はじつに冷静かつ忍耐づよく、ことにあたっていた。 しかし、かれが非情だったからでは、決してない。肉親ならではの情が発する悲嘆や苦衷、いかんともしがたい無念を、胸奥にムリに押しこめていただけで […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(65)

 羽柴秀吉は、こうして、越前府中城内にて露と落ち(影武者による、辞世にあるように)消えたのである。 跡をうけた秀吉の影武者は、秀長や官兵衛たちの画策が功をそうし、抗うもののすくないなか、時流にのりやがては天下をとるのだが […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(66)

秀長は、逝去の一年前から居城にて病床にふせていたのだが、やがて泉下へ。 これを機に影武者の、ぬきさしならない極悪非道、なかでも、関白秀次一族惨殺にはじまり朝鮮出兵におわる、ゆるしがたい悪逆無道があらわとなっていくのだった […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(67)

さてその、前関白豊臣秀次一族惨殺の歴史的意味あいを史家は、まちがいなく、豊臣政権の屋台骨をよわらせる愚行であったと。 そのうえでおもう。本物の秀吉であったれば、つまり、聡明でこれほど先をよめる人物ならばまず、姉(日秀)の […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(68)

それを理解したうえで、まいどの横道。まずは未来についてのバーチャル。 たとえば日進月歩で進化する新技術、そのなかにはガン治療など、医療のめざましい進展に寄与するものもあるであろう。 さらには経済への波及。とくに雇用にだが […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(69)

では、もういっぽうの過去についてはどうか。 まごうことなく不変不動なわけで。だから、切実とはならないし身におよぶこともむろんない。 そのぶん、ゲーム感覚でおもしろさをバーチャルとして、楽しめるのである。 歴史に興味を持て […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(70)

近ごろ(2003年現在)では、インターネットが全世界を網羅し、ブログや写メなどを駆使して、リアルタイムで発信や配信ができるようになった。とりもなおさず受信側も、即座に情報をえられるわけで。 とはいうもののわずかだが、そこ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(71)

朝廷の威をかりて、幕府は権威回復をはたすべく、桜田門外の変直後に画策した公武合体。具体的には、孝明天皇の異母妹と将軍家茂の婚姻という政略による関係強化をなしとげる(1861年)。 それでも各藩の動揺は、おさまらなかった。 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(72)

世界が驚天動地した、1989年11月9日の夜の、ベルリンの壁崩壊だ。 あのとき、ハンマーやつるはしを手に壁を壊していたひとびとも、映像をリアルタイムでみていた全世界のひとたちも、まさか壁崩壊が、ソ連邦の瓦解の主因となると […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(73)

大航海時代からの近代において、世界を支配してきた西洋人が編みだしていった説が、流布の歴史として定着してしまっている。 で、端的な例とは? いやそのまえに、以下も当たりまえなのだが、この前後の記述も白日夢でおもったことであ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(74)

ところで…、 三成は、前記のごとく悪逆非道なそんな秀吉に強諫(つよくいさめる)もしたが、いっぽうで恩義にむくい、命がけで豊臣家を護ろうとしたのだ。せっかく治まった国内に、戦火を再燃させたくなかったからでもある。 この想い […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(75)

秀吉の遺徳をたたえ、慰霊と追善のための寺社造営を秀頼親子に推奨(豊家の戦費ともなりうる蓄財を大幅に減少させるのが目的)していたのだが、そのうちのひとつ、1614年、豊臣家が再建した方広寺の梵鐘に、それはかくれていたのであ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(76)

何やらいわくありげな死ゆえに、江戸期からのウワサ、毒殺だったとの説をとる(理由は後述する)として、おそらくは遅効性のヒ素による中毒症であったろう。 文献にある病状(高熱・不整脈・皮膚の黒色化・おそらくは意識混濁など)も、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(77)

この大名は桓武平氏(桓武天皇の子孫)の流れをくみ、平安時代からつづく、いわゆる名門というやつだ。でもって、桓武平氏にかんたんな注釈をするならば、代表する人物としては大河ドラマの主役ともなった平将門であり、平安末期の清盛で […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(78)

ちなみに曲直瀬玄朔は、重篤だったり危篤状態となったふたりの天皇や重病の毛利輝元(元就の孫)を完治させるなど、名医の誉れたかい漢方医であり、秀吉や徳川秀忠などからも重用されていた。 ところで病因は秀秋の飲酒癖によるのだが、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(79)

慶長の役において秀秋は総大将として、秀吉の命により十六歳(1597年)で駆りだされている。ちなみに本格的な初陣としては、けっして早くはない。 でもって、清正や正則などの名だたる歴戦の猛将が連日たたかっている、まさに修羅の […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(80)

宗永はもともと秀吉の家臣で、しかも目付け役でもあるから、つよい立場にいた。“物言う”家臣いじょうの存在であり、秀秋からすればスーパー“目のうえの瘤”だったということだ。 またほかの家臣にとっても、(1603年、家康が征夷 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(81)

現代でも似た構図として、秘書や部下が自殺することで疑獄事件は暗中へと。 “トカゲのしっぽ切り”との報道にて幾度となく、くやしいが、世間はその耳目にふれてきたとおりである。 それにしても秀秋の死において、打つ手はあったはず […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(82)

ならば浅学のまま、ボクなりに穿(うが)つとしよう。べつの理由を探りだそうというのだ、浅薄・厚顔をさらしつつ。 手始めにだが、秀秋の人物像について。ついで、背景にもふれる必要があろう。 まずは出自から。 かれはまごうことな […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(83)

察せられるはまず、豊臣の主秀吉と豊臣至上主義者の三成への、遺恨なればこそと。もしそうならば忘恩であり、かつ意趣返しにいたっては、幼稚そのものとしかいいようがないが。 さらには、叔母であり育ての母でもあるねね(高台院)が、 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(84)

紆余曲折としたが、 1577年の八月、似つかわしくもないが短慮から夫は、まさに軍紀違反をおこしてしまった。主君の命にしたがわなかったのだ。 とうぜんのことだが信長の逆鱗にふれ(太田牛一の信長公記による)、大げさではなしに […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(85)

はなしを賢妻から愚甥(義理)の秀秋にもどすとして、かれの心裡だがあるいは、じぶんを天下人の後継者から引きずりおろした張本人こそ、まだ幼いとはいえ、憎き秀頼であると、ひそかに呪っていたのかもしれない。 復権など、もはやのぞ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(86)

さて、では仕掛けた本人家康は、どうであったろうか。 そこで思い出してほしいのは、三万余の軍勢をひきいていた秀忠が戦に間にあわなかった史実。 ということは、小早川がうらぎらなければ、三成方の勝ちとなっていたであろうと家康す […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(87)

協力者ならば、後年における清正毒殺のときより見つけやすいはず。平岡頼勝などの家臣たちがいるからだ。鷹狩りのさなかの急変も、休憩時に服毒させたのならば合点がいくし、そばで仕える重臣ならばこそ、毒の混入も造作なきことであった […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(88)

ここでちょっと逸れて、一般論を。 いわく、ほしいものを入手した手合いは、つぎなる手として、おもいつく手法をつかいつつ手放すまじと、場合によっては手荒な手段にもでる。 でもって、手練(だ)れの家康なればこそ、この方程式の例 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 読書に徹する(89)

とここで、あまりにも長い白昼夢ではあったが、この段階にいたり、ようやく醒めたのだった。 秀吉豹変のナゾ解明ではじまった白日夢だったが、それにしてもおもわぬ展開となってしまった。 歴史小説を、曲がりなりにも著わしてきた、そ […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 今夜は、最高の宵・良い・酔い(1)

   今夜は、最高の宵・良い・酔い  白日夢のおかげで、小学生時からの疑義にようやく、満足のいく解答をえることができたのだった。  秀吉は、豹変したのではなかった。戦国期にあって、できるかぎりの流血を避けてきた羽柴秀吉と […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 今夜は、最高の宵・良い・酔い(2)

移封された大名は、歴史的にみて、そのほとんどが一・二年は苦労をさせられている。動乱の世をおえた江戸期ですらそうであった。まして戦国時代、さらには百五十万石という巨大所帯の大移動であり、当初はあらたに検地も必要となった。 […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 今夜は、最高の宵・良い・酔い(3)

両者において、兵力だけでなく経済力においても、天地ほどの差がひらいてしまっていたのである。 とどのつまり、家臣一同とあわせても二百五十万石にすぎない家康が天下をねらうことなど、諦めざるをえなくなったはずだ。 では、外征の […]

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こいつが秀吉?=太閤記を読んで(小学生最後の夏休み読書感想文)/ 覚醒のあとで

 覚醒のあとで  日中、暑かった夏のなごりも、日が傾くにしたがいおさまっていくと、ボクはわれに返ったのだった。 で、長かった白昼夢からえた結論だが、それは、 人格が、なにか得体のしれない原因で激変した、のではなく、いいか […]

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