_心配をかけたくない_が、母の実意だった、と後日しった。
父が同意見だったことも、先日の外出先が大学病院だったことも。
借りたのは、全集様式の講談社版“新書太閤記“全五巻の一巻と二巻だった。どちらも四百二十ページ前後だった。ということは単純計算で、五巻で約二千百ページと。
一日百ページよんでも三週間かかる計算だ。感想文をかく時間も必要だし、ほかの宿題をやり遂げたあとの、あそぶ日時も捻出せねばならない。
大変だが、あとにはひけなかった。
ミステリーや歴史小説の作家として、どうにか生計をたてられるようになった今にしておもう。
この体験のおかげで、すっかり歴史オタクになってしまったと。二十九歳の現在も、歴史小説や解説書をよみ漁っているのだ。そしてこれからも、そう、まちがいなく。
どうやら、母からの影響のほうが、ボクの人生を決してしまったようだ