いまだ混乱する頭ながらに、ことここに至ったいま、懇請の拒絶という現実をうけ容れざるをえず、そのうえでの対応をせねばならないと。
そうでないと、夫の無念をはらすことなどできないからだ。
そのためにはまったく別の、しかも納得をうみだす方途をさがしだすしかないのだが。
ただ、こうおもい定めてはみたものの、しかし…だった。
概念として、方途らしきものを茫々描いてはみた。が、いざ具体となると皆無であった。
いまだ混乱する頭ながらに、ことここに至ったいま、懇請の拒絶という現実をうけ容れざるをえず、そのうえでの対応をせねばならないと。
そうでないと、夫の無念をはらすことなどできないからだ。
そのためにはまったく別の、しかも納得をうみだす方途をさがしだすしかないのだが。
ただ、こうおもい定めてはみたものの、しかし…だった。
概念として、方途らしきものを茫々描いてはみた。が、いざ具体となると皆無であった。
この、玄関までのみじかい途次(みちすがら)だったが、つづけて呪いでもするかのように反論していたのだった。
「泥酔するほどに、外で飲んだことなんてない!」と、実際にくちから漏らして。
しかしながら、人間心理というやつは複雑だ。落胆が心を支配していても、だからといってあれほどの憤怒、それがいつのまにかどこかへ消えさる、はずなかった。
どころか、おさまらない沸騰した怒り。「二度と来ないぞ!こんなとこ」とちいさく叫びつつ震える憤怒の足で、一歩また一歩と蹴みつけるようにして署をでたのである。いや正確には、でるしかなかったのだが。
ところでじつは判ってはいたのだ、悔しいけれど負け惜しみだと。
ただただ絶望の眉間のまんまで、だれもいない家へすごすご帰るなんて、できようはずなかった。いまのこんな気持ちのままでは、あまりに惨めすぎるではないか。
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