伝うそのほほを俯きかげんにしたまま、ただとぼとぼと歩いたのだ。
どれほどの時間が経過したであろうか。
そうするうちに、おおよそ二年まえに事故死した愛息・哲の学友だった人物、なぜかその存在をふと思い出したのである。
伝うそのほほを俯きかげんにしたまま、ただとぼとぼと歩いたのだ。
どれほどの時間が経過したであろうか。
そうするうちに、おおよそ二年まえに事故死した愛息・哲の学友だった人物、なぜかその存在をふと思い出したのである。
そんな失望と激憤にゆれる妙は、あてなく歩いていた。
ひとりになり、やがて流れでたもの。それは夫の無念を斟酌した、悔し涙だった。念願を果たせなかった申しわけなさ、その慙愧の涙であった。
実像として、浮かんでこなかったのである。
たしかにこの時点での平静度は低かった、からなのか?それともたんなる経験不足だからか。
いずれにしろいまはまだ致しかたないことなのだが、霧のなかをさまよっているさながらの心境、でしかなかったのである。
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