ちなみにしる由のない電話番号だったが、急ぎSNSで調べたのである。
おもいだしたくはない、が消え去るはずのない記憶。三年まえのかの日リビングにて。
これ以上はないほどに絶望していた最愛の夫。その、血色がなくなった素の顔、光をうしなった眸や力のない眉、などをおもいだしつつの検索であった。
ただ、じぶんが似た表情になっているとまでは、気づかないままに。
ちなみにしる由のない電話番号だったが、急ぎSNSで調べたのである。
おもいだしたくはない、が消え去るはずのない記憶。三年まえのかの日リビングにて。
これ以上はないほどに絶望していた最愛の夫。その、血色がなくなった素の顔、光をうしなった眸や力のない眉、などをおもいだしつつの検索であった。
ただ、じぶんが似た表情になっているとまでは、気づかないままに。
=そういえば、なんて名前だったかしら。たしか、珍しい苗字だったけど…=おもいだすのに、すこし時間がかかった。=そう、そうだった彦原、彦原君よ。まちがいない=
すぐさま気持ちを反転させると、押っ取り刀(大急ぎで駆けつける)で向かうべく、駅への道すがら、相談申込みの電話をかけんとスマフォを取りだしたのである。
たしかに憤懣と挫折感、自責、そんなカオスのような精神状態ではあったが。とはいえそれでも、はやい段階で脳裏にうかんだのだった。 賢明な人だからか。
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