さて、矢野の脇道ついでに、筆者もここで東の心裡をわずかではあるが、垣間みるとしよう。

俯瞰を、時・空間においてするなら、入隊時は復讐のみであったが、しだいに常軌からの逸脱をすることとなり、信じがたいほどの飛躍とその実行計画…を、いまや、かんがえている、ようだ。

この想念がじつは、第二部とかかわっていくことに……、

だが、いまはここまでとする。

いやいや、もうすこしだけ。その第二部だが、…復讐自体、常人からは、異状心理におもえるであろうと。だから、そんな愚の因となる犯罪こそをこの世からなくしてゆこう。そう、かんがえを飛躍させた官僚や医学者たちの顛末をえがくこととなる。