「殺人ですよ、殺人!」と、一瞬だったが目の色までもかえつつ発したのである。そのあとすぐにだった、冷静さを示そうとふだんの眉に戻して、 「百歩譲ってかりにそうだったとしましょう。ところで、現場で聴取していた警察官はベテランでした。そんなかれらならば、なんらかの違和をそのさい感じとったにちがいありません!」
で、さらに、「それとドライブレコーダーの映像。こっちは数回、ふたりで確認しました。ですが、おかしな個所など一切ありませんでした」
途中からは、吐き捨てるようにいった。もはや、うんざりという顔になって。