ともかくもと、夫のスマフォに時をおかずかけつづたのである。 しかしながら繋がることはなく、で心配がつのり不吉さが増大する妙となった。ではあったが、捜索願を出すべきか、それともまだ早いかで迷ってもいた。
ともかくもと、夫のスマフォに時をおかずかけつづたのである。 しかしながら繋がることはなく、で心配がつのり不吉さが増大する妙となった。ではあったが、捜索願を出すべきか、それともまだ早いかで迷ってもいた。
それとほぼどうじに、不吉が頭をもたげたのだ。虫の知らせというやつか。いっぽうで、あの人にかぎってとの思いが、それをうち消しもした。
「『恐ろしいことに巻きこまれてしまった。霞が関の中枢がこれほどの悪質な違法行為をしてもいいのか…』とそう憤慨し、頭を掻きむしったのです」
ただし会社人間だったがゆえに、肝心のことは頑なに沈黙をまもっていたとも。
「にもかかわらずそんな夫は、あげく、クルマに轢かれてしまった。しかもどういうわけか」それが退職の当夜にだったと云々。
帰宅が予定時刻を、おおきく過ぎてしまっていたのだ。普段なら、時間厳守がモットーのひとなのにと不審におもった。
おもわず、嬉しなみだで眸を潤ませた未亡人。
しかし感傷にふけられる状況にはない。かのじょは夫の面影を蘇らせつつも、ことばを噛みしめるようにして語りだしたのだった。
おもわず、嬉しなみだで眸を潤ませた未亡人。
しかし感傷にふけられる状況にはない。かのじょは夫の面影を蘇らせつつも、ことばを噛みしめるようにして語りだしたのだった。
それにしても、妻にとっても相当に重要な記憶にちがいない。 しかしながら、六十五歳という年齢と三年という年月、それ以上に茫然をうみ自失をさせた最愛の夫の突如の死、さらには納得のいかない警察の対応のせいで、いうところの頭のなかが真っ白になったからだ、肝心を忘失してしまったのは。
もとより拒む理由などあろうはずもなく、実直にうなずくとすぐにそれを繰りかえしたのだった。
果たせるかな…、実際、記憶はよみがえったのである。
「右手をつよく握ると記憶力が増し、ぎゃくに左手をこぶしにすると記憶がよみがえる、というような実理(体験でえた理論)データをもとにそう発表したのです」 だからよかったらやってみてくださいと、最後のほうの説明だけでもことが済んだ提案をしたのである。
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