人というのは、こんなふうな脆さをもっているのであろう。ふだんは沈着冷静な人物であっても、激しすぎる動揺のせいで、おもわず漏らしてしまったのだ。いやはや、そうにちがいない。

 ところでこのあとのことだが、まるで“二枚貝”のように急に閉じた口となるのだった。

それにしてもこの暴露、別の角度からみれば、どこかにそれなりの計算があったのかもしれない。

だとしてもそれは、当人にもわからない深層心理であった。

いずれにしろ、それでも直後には“しまった、つい口走った…”と自戒し、合流会議があったという事実、いや、それすらも闇の底に葬りさらねばならないと、おそらく自身につぶやいたのだった。…今更ではあるが。

つづけて「だからおまえも、絶対に口外するな!」と、今度は強く命じたのである。