これには「なるほど」「さすが」と、全員が納得や賞賛をしたのである。
赤木妙の懇願が受けいれられなかったのは、元刑事のこの発言にもよったのだった。
それにしても若さは、忖度とは無縁なのか。斟酌においてはなおさらか。
「深酒が原因の事故なんて、世間体がわるいですからねえ。あなたの立場としては、よくわかりますよ。ですが」といったあと、
すこし迷いつつも、「これくらいはわかってほしいのですがね…」で一息つき、それからおむむろに口をあけた。眼光はこのとき、鋭くなった。
「映像はウソをつかないのですよ、ちがいますか」こう、きっぱりいい切ったのである。
ところでいまの言動をもふくめ、=この若造が!ただマニュアルに従っているだけのくせに!=厳しくなった眼光に負けまいと、かのじょは心底で息巻いたのだった。