いよいよの、DNAの照合である。東のデータは、防衛省からとりよせればいい。
これらを知っての問い合わせで、あすの午後一番でけっかがでますよと、科捜研から藤浪がそうきいたのだった。
でもって合致すればやつに、逮捕状という名のラブレターと、両手首に光るくさりつきのブレスレットをプレゼントできるのだ。
そして二十四時間後、待ちに待ったけっかがでたのである、合致したとの。
おもえば、長さ四センチほどの、たった一本のかみの毛が、極悪犯罪者…東を、ついに追いつめたのだ。
やつの完全犯罪を崩壊させる、まさにこれが、待望ひさしい“アリの一穴”にあたるのではないか!
とはいっても立件できるのは、クルマの盗難だけ、でしかない。
ドローンをつかった爆殺事件となると、盗難車でドローンをはこび、爆発物をつけてそこから飛ばしたとの証拠が、すくなくとも必要だ
他の二件の爆殺事件は、爆薬の成分がかんぜんに一致していることで、立件は可能となろうし、有罪もかちとれるはずだと。
そのためには、どこから遠隔操作をしたかを特定しなければならない。だけでなく、その現場ちかくにおける防犯カメラの映像を入手することである。
いわゆる共謀罪(テロ等準備罪)、それの施行(2017年7月11日)で、住宅街における監視カメラ等が、順をおって秘密裏に設置されてきた、それらの映像からピックアップしなければならない。
いうのはかんたんだが、生半可なまはんかな量ではない。
ちなみに、まずは住宅街中心にカメラの非公開設置を当局がすすめたのは、住宅地のほうがテロ集団は隠れ蓑にしやすいだろう、と踏んだからだった。
遠隔操作したばしょの特定なら、二・三日で完了するであろう。なぜなら、あらたな手がかりのボロ軽トラをみつけだせばいいだけだからだ。前回とちがって、はるかに容易になった。
以前は車種が特定されていなかったがゆえに、爆殺事件発生時間からしか手がかりはなかった。爆発地点を中心に、直径十キロ強(ドローンの遠隔操作可能な距離)からみつけださねばならなかったのだ。よって、困難をきわめていた。
いわば、数学における座標軸のいっぽうたる、タテ軸(時間)はえがけていた。だが、交差するヨコ軸がえがけないから、答えのだしようがなかったのだ。
だがようやく、ヨコ軸(車種)もみつけだせた。おかげで答えを導きだせる、となったのである。
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