「『恐ろしいことに巻きこまれてしまった。霞が関の中枢がこれほどの悪質な違法行為をしてもいいのか…』とそう憤慨し、頭を掻きむしったのです」
「『恐ろしいことに巻きこまれてしまった。霞が関の中枢がこれほどの悪質な違法行為をしてもいいのか…』とそう憤慨し、頭を掻きむしったのです」
ただし会社人間だったがゆえに、肝心のことは頑なに沈黙をまもっていたとも。
「にもかかわらずそんな夫は、あげく、クルマに轢かれてしまった。しかもどういうわけか」それが退職の当夜にだったと云々。
帰宅が予定時刻を、おおきく過ぎてしまっていたのだ。普段なら、時間厳守がモットーのひとなのにと不審におもった。
おもわず、嬉しなみだで眸を潤ませた未亡人。
しかし感傷にふけられる状況にはない。かのじょは夫の面影を蘇らせつつも、ことばを噛みしめるようにして語りだしたのだった。
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