月別: 2023年6月

~秘密の薬~  第二部 (133)

「『恐ろしいことに巻きこまれてしまった。霞が関の中枢がこれほどの悪質な違法行為をしてもいいのか…』とそう憤慨し、頭を掻きむしったのです」

~秘密の薬~  第二部 (134)

ただし会社人間だったがゆえに、肝心のことは頑なに沈黙をまもっていたとも。
「にもかかわらずそんな夫は、あげく、クルマに轢かれてしまった。しかもどういうわけか」それが退職の当夜にだったと云々。

~秘密の薬~  第二部 (135)

帰宅が予定時刻を、おおきく過ぎてしまっていたのだ。普段なら、時間厳守がモットーのひとなのにと不審におもった。

~秘密の薬~  第二部 (132)

おもわず、嬉しなみだで眸を潤ませた未亡人。

しかし感傷にふけられる状況にはない。かのじょは夫の面影を蘇らせつつも、ことばを噛みしめるようにして語りだしたのだった。