この、当たりまえに噴出した激昂。 ではあったがそれをいま、だからといって感情にまかせてはダメだと必死で抑えたのである。いまも愛している夫のためにも辛抱すべきだと。耐えがたきを耐えたのだ、心中歯噛みしながら。
この、当たりまえに噴出した激昂。 ではあったがそれをいま、だからといって感情にまかせてはダメだと必死で抑えたのである。いまも愛している夫のためにも辛抱すべきだと。耐えがたきを耐えたのだ、心中歯噛みしながら。
もちろんショッキングこの上ないものであり、さらに遺族にとっては、想像するだに震撼しないはずのない映像!にもかかわらず、それをなんと…。
このえぐい害意には当然のこと、ちいさく何度も首をよこにふったのだった。必要ないとの意味だけでなく、怒り心頭の態度として。
「目撃証言、くわえてのドライブレコーダーの映像」そのどちらをとっても、疑わしい点はなかったと確言したのだった。
「なんなら証拠の映像、おみせしましょうか。どうします?」と、顎を30度ほどあげるような尊大さでもって、髪のはいる隙間すらあたえることなくたたみかけたのだ。
ところがそれを、担当官は間髪いれず制したのである。
妙は一瞬ことばを飲みこんでしまった。
その隙をつき、別口の証拠もあると発言したのである。
さらにとどまることなく、「また、それこそ真剣に仕事をしたその成果ですよ。だから、不備などどこにもありえません!」そう言い切ったのである。
しかしながら、「真剣に仕事をするのは当然で、しなかったなんて、それこそありえないではないですか」と負けずに反論をした妙。
嘆願に耳を貸そうとしないばかりか、こんな主張を警察官が展開する自体、“取りつく島もない“状況そのものだと。怒りはさらにつのったのだった。で、つづけていい放とうとした。
さ らにとどまることなく、「また、それこそ真剣に仕事をしたその成果ですよ。だから、不備などどこにもありえません!」そう言い切ったのである。
しかしながら、「真剣に仕事をするのは当然で、しなかったなんて、それこそありえないではないですか」と負けずに反論をした妙。
嘆願に耳を貸そうとしないばかりか、こんな主張を警察官が展開する自体、“取りつく島もない“状況そのものだと。怒りはさらにつのったのだった。で、つづけていい放とうとした。
ところで担当官からすれば、その立ち位置はまったくちがっていた。それでむろんのことだが、早速の反論としての牙をむいたのだった。
「なにをバカなことを!日本の技術を見くびっているのですか。ましてわが警察の科学捜査を」
詰め寄った理由は、真にこれだった。ひとの死を真摯にとらえ、すくなくとも「その死の真相解明を徹底しなさい!」と。
被害者側としては自然すぎる想いであり、真意だったのである。
まだわが子とおなじくらいの年のくせに、役人根性だけは一人前。おもわず、じつはここに怒りをおぼえたのだ。
いや腹立たしさにおいて、比較にならないことがさらには。
最愛の夫の死を、軽くあつかっていること。言動からそうとしか感じられず、そこに憤懣をいだいたのである。
しかしそんなことなどお構いなしの妙は真剣な眸で、計測そのものに不備があったのではないか、また、不備を確認するための検証はしたのか?と、体ごとぶつけんがごとくに詰め寄ったのである。
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