頑(かたく)なに、まるで牡蠣のようだった。

それでもあきらめきれず、日時や状況をかえ、そのたびに訊いてみたのだが結果はおなじで、頑として、打ち明けることはなかったのである。

ならばと、「その要請、断れないの?」とも問うてみた。

それにも一度は首を横にふった。だが、やがてちいさく逡巡の表情をしつつ、おもむろに口をひらこうと唇をすこし動かした。しかしながら、 「ああ」とのおもい溜め息をついたあと、「それができたら、いいのにね」と、結局は、微苦笑してしまっただけであった。