錚々(そうそう)たるメンバーというほかないほどに、キャリアとされている人たちからみてもまさに雲の上の、威張りくさった連中なのだ。

ただし密談のゆえに、日頃はまるで召使いのようにこき使っている秘書たちではあるが、同会議にかぎってはかれらを余人だとして、一度たりとも参加させなかったのである。

ふだんなら書記も兼ねるはずの秘書を、同席させず少数精鋭でのぞんだことになる。

さて異例づくめのその理由。憶測するしかないのだが、情報の流出が絶対にゆるされない案件だったからであろうと。

ふんぞり返っている御仁たちが、単独で行動するというのは、余程のことである。入室や乗車時などのドアの開け閉め、飲料水などの購入までもさせる、殿様気どりも珍しくない連中なのにだ。

つまりよほどに特別の会議、ゆえに少数精鋭であったとみるべきで。よって、会議開催じたいもいわば超国家機密だったにちがいないと、おそらく。

お歴々という顔ぶれは不変だったが、開催場所や時間を毎回変えていたことからも、推察できるではないか。

だからこそ六人から余所へ、議題の詳細それ自体が、すこしも漏れることはなかったのである。 よって五里霧中の段階では、議題の内容について、言どころか半句も記しようがないのだ、後年、年末の先述の居酒屋での、筆者のよこの席にいて駄弁していた酔客たちの雑談とはちがって。