しかしながら、人間心理というやつは複雑だ。落胆が心を支配していても、だからといってあれほどの憤怒、それがいつのまにかどこかへ消えさる、はずなかった。
どころか、おさまらない沸騰した怒り。「二度と来ないぞ!こんなとこ」とちいさく叫びつつ震える憤怒の足で、一歩また一歩と蹴みつけるようにして署をでたのである。いや正確には、でるしかなかったのだが。