この、当たりまえに噴出した激昂。 ではあったがそれをいま、だからといって感情にまかせてはダメだと必死で抑えたのである。いまも愛している夫のためにも辛抱すべきだと。耐えがたきを耐えたのだ、心中歯噛みしながら。
荒くなった息を三度の深呼吸でととのえたのち、“証拠”だといってきた二要素にたいしては、臆することなく、
「ならば教えてください。目撃証言したひとですが、ドライバーの友人とかだったのでは?それにドライブレコーダーを工作した、そんな可能性だってゼロではないでしょう!」
そう、渾身でくいさがったのである。